ギリシャ文字の小文字は,
\alpha
,\beta
,\gamma
,...のように,
また大文字は,\Gamma
,\Delta
,...のように
入力します5.2.
平方根を出力するには,
\sqrtコマンドを使用します.
乗根を出力するには,オプション引数を
用いて\sqrt[
]
のようにします.
平方根の記号の大きさは,LATEXが自動的に決定してくれます.
もし根号記号のみが必要になれば,\surd
コマンドを
使用して下さい.
\overlineコマンドと\underlineコマンドは, それぞれ数式の上と下に水平な直線を引くコマンドです.
\overbraceコマンドと\underbraceコマンドは, 数式を囲むような水平なブレース(中括弧)を それぞれ数式の上と下に書くコマンドです.
変数の上に小さな矢印やチルダのような
数式アクセント記号を付けるには,
ページの表5.1に
示すようなコマンドを使用します.
数文字を覆うような幅広の山形記号やチルダを出力するには,
\widetildeコマンドや\widehatコマンドを使用します.
'
記号は,
プライム記号を出力します.
ベクトルは,変数の上部に小さな 矢印記号を添えることで表します. このためのコマンドが \vecコマンドです. 点から点までのベクトルを出力するために, \overrightarrowと\overleftarrowという 二つのコマンドがあります.
logなどの関数名は,変数を表すイタリック体ではなく 立体で表示されるのが普通です. そこでLATEXでは,主要なほとんどの関数名を出力するために 以下のコマンドが用意されています.
\arccos | \cos | \csc | \exp | \ker | \limsup | \min | \sinh |
\arcsin | \cosh | \deg | \gcd | \lg | \ln | \Pr | \sup |
\arctan | \cot | \det | \hom | \lim | \log | \sec | \tan |
\arg | \coth | \dim | \inf | \liminf | \max | \sin | \tanh |
剰余関数には, 二項演算子``''を表す \bmodと `` ''の形式で出力する \pmodの 二つのコマンドがあります.
分数を出力するには,
\frac{...}{...}
コマンドを使用します.
の出力形式も,`分母',`分子'の桁数が少ない場合に
見栄えがよいのでよく使用されます.
二項係数や同じように横線のない分数を出力するには,
{...
\choose ...}
コマンド,
{...
\atop ...}
コマンドを使用します.
後者のコマンドは,括弧が出力されないだけで
前者のコマンドと同じような出力になります.
(amsmathパッケージでは,これらの
古い形式のコマンドを使用することをはっきりと禁止しており,
これらのコマンドは \binomコマンドと \genfracコマンド
に置き換えられています.
後者は様々な分数構造を定義できるコマンドになっています.
例えば,
\newcommand{\newatop}[2]{\genfrac{}{}{0pt}{1}{#1}{#2}}
の
定義で,\atopコマンドと同じ構造を出力することができます.)
関係項演算子などでは,演算子の上に記号などを 重ねて出力することがよくあります. \stackrelコマンドは,二番目の引数を 通常の位置に出力し,その上部に上付き添字の文字サイズで 最初の引数で与えられた記号を出力します.
積分記号は \intコマンド,
総和記号は \sumコマンド,
また積記号は \prodコマンドで
出力することができます.
この場合,下限,上限は下付き添字,上付き添字を
出力するためのコマンド^
と_
を用います5.3.
TEXには,括弧や
その他の区切り記号を表すために,
様々なコマンドが用意されています
(例えば,
など).
パーレン(( ):括弧)やブラケット([ ]:角括弧)は
対応するキーを直接入力することで,
ブレース({ }:中括弧)は\{ \}
で,
またその他の区切り記号はそれぞれのコマンド
(例えば,\updownarrow
など)を入力することで
出力できます.
出力できる区切り記号については,
ページの表5.8を
参照して下さい.
開き区切り記号の前に \leftコマンドを, また閉じ区切り記号の前に \rightコマンドを置けば, TEXは数式の高さに合わせた大きさの区切り記号を 自動で打ち出します. ただし,\leftコマンドはすべて \rightと 対になっていなければなりません. また区切り記号のサイズが正しく決められるのは, 同じ行で対の区切り記号が出力される場合のみです. もし右側の区切り記号が必要ない場合には, 目に見えない区切り記号である`\right.'を 使うことになります5.4.
場合によっては,区切り記号の正しい大きさを LATEXに指示する必要があります. そのためのコマンドに,\big,\Big,\bigg, \Biggがあります. これらのコマンドは区切り記号を表すコマンドの前に 書きます5.5.
数式中で三点リーダを 出力するには,いくつかのコマンドが使用できます. \ldotsコマンドはベースライン上に, また \cdotsコマンドは中央の高さに それぞれ水平方向に点を三つ描きます. さらに垂直方向には \vdotsコマンド, 斜め方向のドットを 出力するには \ddotsコマンドがあります. 5.5節に別の例があります.