next up previous
: 3.2 基本的事項 : 3. はじめの一歩 : 3. はじめの一歩


3.1 はじめに

3.1.1 TEX

TEXは, Donald E. Knuth教授[2]が 作成したコンピュータプログラムであり, テキストと数式の組版を目指したものです. Knuth教授は,特に哀れで痛ましい自著の書籍や論文における 印刷品質の低下・悪化傾向を改め,その当時, 出版界に浸透し始めたコンピュータによる印刷技術の 可能性を調べるため,1977年に組版エンジンであるTEXの プログラムを書き始めました. 今日使用されているようなTEXは1982年に公開された ものであり,その後,8ビット文字や多種多様の言語を扱うために 強化・改良されたものが1989年に公開されています. TEXは非常に安定しており,様々なコンピュータ上で動作し, 実際にほとんどバグがないことで有名なソフトウェアです. TEXのバージョン番号は最終的に$\pi$となるのですが, 現在は$3.14159$です.

TEXを言葉にするときには,ドイツ語の``Ach''や スコットランド方言の``Loch''における``ch''のように``Tech''と 発音します. またASCII環境では,TEXのことはTeXと 表記します.

3.1.2 LATEX

LATEXは,あらかじめ決められた本格的なレイアウトに従って 最高の品質で文書を組版,出力するためのマクロパッケージであり, TEXを組版エンジンとし,Leslie Lamport氏[1]によって作成されました.

1994年,LATEXパッケージは Frank Mittelbach率いる LATEX3チームによって更新されました. これは,強く要望のあった様々な改良と LATEX 2.09が数年前に リリースされて以来生じていたすべての修正を再統合する ためのものでした. 旧バージョンと区別するために,新しいLATEXは LATEX2eと呼ばれます. この冊子は,LATEX2eについて説明を行っています.

LATEXは,``Lay-tech''とか``Lah-tech''と発音されます. ASCII環境のようにLATEXと書けないときには, LaTeXと書きます. LATEX2eは,``Lay-tech two e''と読み,文字の上げ下げや 字詰めを行うことのできない環境ではLaTeX2eと 書きます.

上の図3.1は,TEXやLATEX2eが どのように動作しているかを示しています. この図は,Kees van der Laanによるwots.texからの ものです.

図: TEXの内堀・外堀
\begin{figure}\begin{lined}{0.8\textwidth}
\begin{center}
%%
\input{kees.fig}
\end{center} \end{lined} \end{figure}


next up previous
: 3.2 基本的事項 : 3. はじめの一歩 : 3. はじめの一歩
Hiroyuki Ohsaki (oosaki@ics.es.osaka-u.ac.jp)