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情報処理I 講義メモ(第11回)
2004年前期

LATEXとは

ワープロで文書を作成する場合には、文字の大きさや書式の指定などの 画面表示と印刷結果はほぼ同じである。これをWYSIWYG(What You See Is What You Get)と言う。

これに対して、文書の構造や書式指定をコマンドとして文書中に記述しておき、 文書を一括処理(コンパイル)して印刷結果を得る方式もある。 この方式では、文章の論理構造や図・表の参照関係などをコマンドとして 保持しているので、文章の節や図・表の順番の入れ替え、追加・削除をしても、 コンパイルし直すだけで正しく番号を振ってくれるなど、長い文書になれば なるほど威力を発揮する。

LATEXとは、後者の方式を採用した文書整形ソフトウエアである。

目標: LATEXでの文書作成を通じて、決められたルールに従って きちんと記述することの経験を積むこと。 これは一種のプログラミン グであり、コンピュータの本質の理解に役立つものである。


LATEXによる文書処理の流れ

LATEXによる文書処理の流れを、sample2e.texを例に 説明する。
  1. ソースファイルの編集

    ソースファイルは必ず、.tex という拡張子をつけてテキスト形式 で保存する。 ソースファイルはテキスト形式のファイルであるので、 テキスト形式ファイルを編集できるエディタであればどれを使ってもよい (Kwrite, etc.)。 ここでは、あらかじめsample2e.texを用意 (sample2e.texとfig1.epsが、/ex/lecture/ip1/latex にあるので、 これらを ~/texにコピーする)。

  2. コンパイル

    ソースファイルをスタイルファイルと照らし合わせながら、視覚的構造へ変換する。

    スタイルファイル : 書式に関する情報が登録されているファイル。 よく用いられるスタイルファイルはあらかじめ登録されているので、自分で用意 する必要はない。 自分でオリジナルのスタイルファイルを作成することも可能(当授業では取り扱 わない)。

    コンパイルが正常に終了すると、sample2e.texと同じディレクトリに、 sample2e.aux、sample2e.dvi、 sample2e.logの3つのファイルができる。

    .aux   補助ファイル : ページ番号や図表番号を割り振るための情報を記録
    .log   ログファイル : コンパイルの状況を記録
    .dvi   中間ファイル : 最終的な出力の手前の状態

  3. 印刷

    dviファイルをpsファイルに変換し、psファイルを印刷。

    .ps   PostScriptファイル : PostScript言語で印刷ページをレイアウトする命 令が埋め込まれたファイル。PS対応プリンタで印刷できる。


ソースファイル(.tex)から始まって、印刷するまでにいろいろなファイル(.aux, .log, .dvi, .ps)が生成されるが、 ソースファイル以外は印刷後に削除してしまっても問題はない。


Kile(LATEX統合環境)での作業

準備(サンプルファイルのコピー)

まず、練習用のサンプルファイルをコピーしてみよう。 サンプルファイル(sample2e.tex, fig1.eps)は、 /ex/lecture/ip1/latex に保存されている。 以下の手順で、これらのサンプルファイルを自分のディレクトリにコピー してみよう。
  1. 「ホームディレクトリ(家のアイコン)」をクリックし、tex という名前で ディレクトリを新規作成する。tex ディレクトリに入ってみる。

  2. 再び「ホームディレクトリ(家のアイコン)」をクリックし、新しい画面を開く。 次に、上部のアドレス欄に以下を入力し、サンプルファイルのディレク トリを見てみる。 /ex/lecture/ip1/latex/

  3. このディレクトリの中の、sample2e.texfig1.eps を、1. のディレクトリにコピーする。

ソースファイルの編集

  1. 「Kメニュー」→「情報処理教育システム」→「Kile - 統合LaTeX環境」 を選択し、Kile を起動する。

  2. 「ファイル」→「開く」でsample2e.texを選択する。 なお、新しいソースファイルを作成する場合には、「ファイル」→「新 規」。

  3. ソースファイルを編集する。編集後は「ファイル」→「保存」で 保存しておく。


コンパイル〜印刷

  1. コンパイルは、メニューバー2段目の中央あたりの 「LaTeX」アイコン(歯車の絵) をクリック

  2. Kileの下部の「メッセージとログ」ウインドウに、 コンソール情報(ログ)が表示される。 次に、メニューバー2段目の「次のエラー」アイコン(→の絵) をクリックすると、エラーがある場合には、ログの中に、赤い 文字で表示される。

    サンプル:sample2e.tex にはわざと間違いを入れており、 l.28 \begin{abstruct} と表示されている。これは、28行目 の \begin{abstruct}の部分にエラーがあるというこ とである。もう少し前をみると、! LaTeX Error: Environment abstruct undefined. という記述がある。この例では、「abstruct という 環境が定義されていない」というエラーを表している (正解はabstract)。

    ただし、常に表示されている文字列にエラーが 含まれているわけではなく、その直前、あるいは関連した 部分にエラーがある場合もある。

  3. 修正して保存し、再度コンパイルする。 先ほどの例では、\begin{abstruct}\begin{abstract}

    コンパイルエラーがなくなるまで繰り返す。 なお、Warningメッセージは、取り合えず無視して良い。

    コンパイルに成功すると、dviファイルができる。 「LaTeX」アイコンの右隣の「Dviファイルを表示」アイコン をクリックすると、Dviファイルを画面上でプレビューできる。

    最終的に、PSに変換して印刷するので、このプレビューは無視する。

  4. DviファイルからPS ファイルへの変換

    「LaTeX」アイコンの2つ右隣の「DviからPSに変換」アイコンを クリックすると、xxx.psファイルが生成される。

  5. PSファイルのプレビュー

    「LaTeX」アイコンの3つ右隣の「PSファイルを表示」アイコンを クリックすると、KGhostViewが起動し、 画面上で印刷イメージを確認することができる。

  6. 印刷: Kileから直接印刷することはできない。

    PSファイルのプレビュー画面(KGhostView)で 「ファイル」→「印刷(P)...」メニューをクリックする ことで印刷できる。


支援ツール

Kileには、様々な支援ツールが用意されている。 例えば、LaTeXメニューには、基本的な文書スタイルや見出しに関する命令が 用意されており、 クリックするとソースファイルのカーソル位置に挿入される。

LaTeX統合環境 Kile のマニュアルは 以下を参照:
http://www.ex.media.osaka-cu.ac.jp/kile/kiletop.html


文書作成

最低限のルール

詳しくは、sample2e.texと出力結果を見比べてください。

図のためのEPSファイル

LATEXで図を貼り付けるためには、 グレースケール(白黒)のEPS形式で図を保存する必要がある。 以下に、画像をグレースケールEPS形式で保存する方法を述べる。

Linux上の画像:
GIMP で作成した画像や、Mozillaでダウンロー ドした画像などLinux で扱ってきた画像は以下の手順でグレースケー ルのEPS形式に変換できる。
  1. GIMPを起動する。
  2. 「ファイル」→「開く」で対象とする画像ファイルを開く。
  3. 「右クリック」→「画像」→「モード」→「グレースケール」 を選択する(画像が白黒になる)。
  4. 「ファイル」→「別名で保存」で拡張子を.epsにして保存す る。
  5. 出力されたEPSファイルを、必要に応じて、 texディレクトリに移動する。
Windows(VMWare)での画像:
基本的にLinux側にファイルを移動(またはコピー)させて、 上記の手順でGIMPでグレースケール変換+EPS書き出しを行えばよい。 なお、Windows からLinux へのファイルの移動方法は、第9回の資料を参考に すること。

Excelのグラフなどは、以下の手順で一度.pngまたは.gif 形式で 保存してからLinux 側へ移動させれば良い。

  1. Excelで対象とするグラフを選択し、「コピー」

  2. 「プログラム」→「アクセサリ」→「ペイント」を実行し、 ペイントを起動する。

  3. ペイントにて、「編集」→「貼り付け」で、グラフが貼り付けら れる

  4. 「ファイル」→「名前をつけて保存」。ファイル名を英数字で 付け(例: graph1)、ファイルの種類をPNGとし、マイドキュメント に保存。これでグラフがPNG形式の画像として保存される。

  5. 上記ファイル(graph1.PNG)を、マイコンピュータ→ネットワー クドライブ→tex に移動させる。

  6. 後は、Linux側にて、GIMPでこのファイルを開き、グレース ケールEPSへの変換を行う(上記Linux上での画像参照)。

課題

LATEXを用いて、2 ページ以上の文書を作り、印刷して提出せよ。 ただし、以下の条件に従うこと。

この文書について...

この文書はLaTeX2HTML 翻訳プログラム Version 99.2beta6 (1.42)

Copyright © 1993, 1994, 1995, 1996, Nikos Drakos, Computer Based Learning Unit, University of Leeds,
Copyright © 1997, 1998, 1999, Ross Moore, Mathematics Department, Macquarie University, Sydney.

日本語化したもの( 99.2beta6 + JA patch 4.0 (1.42) 版)

Copyright © 1998, 1999, 2000 Kenshi Muto, Debian Project.

に、さらにWin32用パッチ(99.2beta6 + JA patch 4.0 + Win32 patch 1.32 (1.42) 版)

Copyright © 2000, ABE, Osamu, Hokkaido University of Education

を用いて生成されました。

コマンド行は以下の通りでした。:
latex2html -local_icons -split 3 memo-11.tex.

翻訳は masa-n によって 平成16年5月10日 に実行されました。



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masa-n 平成16年5月10日