next up previous
: 4.2 改行と改ページ : 4. テキストの組版 : 4. テキストの組版

4.1 テキストと言語構造

文書(現代のDAAC4.1文学を除く) を作成するために重要なことは, 考え,情報,知識といったものを読者に伝えることです. 執筆者が伝えようとしている考えがうまく構造化されていれば, 読者は書かれた内容を理解するのは容易でしょうし, 出力レイアウトが内容の論理性と意味的な構造を反映していれば, この構造をより捉えやすいでしょう.

LATEXは,文書が論理的で意味的に 構造化されていなければならないと言う点において, 他の組版システムと異なっています. つまり,文書クラスや様々なスタイルファイルで与えられる ``規則''に従った出力結果が得られるのです.

LATEX(そして組版)において最も重要な文章の構成単位は 段落です. 段落は,論理的で筋道の通った思考や見解を反映すべき レイアウト形態なので,``文章の構成単位''と言うのです. 以下の節で,\\コマンドによる改行の仕方, 入力ファイル中の空行による段落の作り方を説明しますので, 新たなる考えが始まるのであれば新しい段落を始めるべきですし, そうでなければ改行のみを使うべきです. 段落にすべきかどうか迷ったら, 書いている文章がどのように思考や見解を伝えているか 考えて下さい. 一貫した考えを述べているのに 新たに段落を開始するべきではありません. 全く新しい考えが現れたら,段落を改めるべきです.

ほとんどの人は,正しく段落分けされる重要性について 全く理解していません. 多くの人は段落の意味さえ知りません. 特にLATEXでは,段落の意味を知らなくても 段落を区切ることができるので, 文書中に数式が書かれる時に特に間違いが生じやすくなります. 以下の例を見て,数式の前後に空行(段落区切り)が 使われていたり,いなかったりする理由を理解して下さい. (もしこれらの例を理解するのに, 必要なコマンドについてまだよくわかっていなければ, この章と次の章を読んでから再びここに戻って確かめて下さい.)

% Example 1
\ldots when Einstein introduced his formula
\begin{equation}
  e = m \cdot c^2 \; ,
\end{equation}
which is at the same time the most widely known 
and the least well understood physical formula. 


% Example 2
\ldots from which follows Kirchoff's current law:
\begin{equation}
  \sum_{k=1}^{n} I_k = 0 \; .
\end{equation}

Kirchhoff's voltage law can be derived \ldots


% Example 3
\ldots which has several advantages.

\begin{equation}
  I_D = I_F - I_R
\end{equation}
is the core of a very different transistor model. \ldots

段落の次に小さな文章の構成単位は文です. 英文では,略語のピリオドの後よりも 文の終わりを表すピリオドの後のスペースの方が 大きくなっています. LATEXは,執筆者がどちらのスペースを必要としているのか 理解しようとします. LATEXが間違う時には,どちらが必要なのかを 伝えなければなりません. これについては,後ほど説明します.

文書の構造は,文の構造にまで拡張できます. ほとんどの言語はとても複雑な句読点の規則をもっていますが, (ドイツ語や英語を含めて)多くの言語で, 句点が言葉の流れを一時的に止めるということを覚えていれば, たいていの場合正しい位置にコンマを打つことができます. どこにコンマを打てばよいか定かでない時には, 文章を声に出して読み,すべてのコンマで一呼吸おいてみて下さい. この時ぎこちない部分があれば, その場所にあるコンマは削除します. また息継ぎ(や一呼吸おいたり)した方がよいような場所には, コンマを打ちます.

最終的に段落は,章,節,小節などを組み立て, より高いレベルで論理的に構造化されていかなければなりません. しかし,例えば\section{文章の構造と言語}と 書いた時のレイアウトの効果は明らかなので, これらの高いレベルの構造がどのように使われるのかは ほとんど自明なことでしょう.


next up previous
: 4.2 改行と改ページ : 4. テキストの組版 : 4. テキストの組版
Hiroyuki Ohsaki (oosaki@ics.es.osaka-u.ac.jp)