next up previous
: 7.3 スペース : 7. LATEXのカスタマイズ : 7.1 新しいコマンド,環境,パッケージ


7.2 フォントの種類とそのサイズ


7.2.1 フォントを変更するコマンド

LATEXは,文書の論理的な構造(節,脚注など)に基づいて 適切なフォントとそのサイズを選びますが, 直接それらを変更したくなることもあるでしょう. 表7.17.2に, フォントやそのサイズを変更するためのコマンドを示します. それぞれのフォントの実際のサイズは, レイアウトデザインの問題であり,文書クラスと そのオプションの指定によって変わります. 標準の文書クラスで定義されているサイズ変更コマンドと その実際のフォントサイズを表7.3に示します.


\begin{example}
{\small The small and
\textbf{bold} Romans ruled}
{\Large all of great big
\textit{Italy}.}
\end{example}

LATEX2eで導入された重要な特徴のひとつに, 独立したフォント属性があります. つまり,フォントサイズや種類を変更するコマンドを実行する際, それまでに指定されていたボールド,スラントといった属性を 保ち続けることができるようになっています.

数式モードでは,一時的に数式モードから出て 通常のテキストモードに移った後,これらのフォント変更 コマンドを使用することになります. また別に,数式中でフォントを変更する特別なコマンドが あります. これを表7.4に示します.


表 7.1: フォントの種類

\begin{lined}{12cm}
%%
\begin{tabular}{@{}rl@{\qquad}rl@{}}
\texttt{\symbol{'...
...ert{...}\vert& \textnormal{document} font
\end{tabular}\par\bigskip \end{lined}



表 7.2: フォントサイズ

\begin{lined}{12cm}
\begin{tabular}{@{}ll}
\texttt{\symbol{'134}tiny} & \tiny ...
...texttt{\symbol{'134}Huge} & \Huge largest
\end{tabular}\par\bigskip \end{lined}



表 7.3: 標準文書クラスにおけるフォントサイズ

\begin{lined}{12cm}
\begin{tabular}{lrrr}
\multicolumn{1}{c}{サイズ} &
\multi...
...b*\vert\Huge\vert & 25pt & 25pt & 25pt\\
\end{tabular}\par\bigskip \end{lined}



表 7.4: 数式フォント

\begin{lined}{\textwidth}
\begin{tabular}{@{}lll@{}}
\textit{コマンド}& \texti...
...fi}\neq ffi$\vert&
$\mathit{ffi}\neq ffi$ \end{tabular}\par\bigskip \end{lined}


フォトサイズコマンドに関しては,ブレース(中括弧)が 重要な役割をします. これはグループを作るために必要で, グループ化を行うことで多くのLATEXコマンドの有効範囲を 制限することができます.


\begin{example}
He likes {\LARGE large and
{\small small} letters}.
\end{example}

フォントサイズコマンドは行間隔も変更します. しかしこれは,フォントサイズコマンドの有効範囲内で 段落が終了している場合にのみ適用されます. そのため,閉じブレース(中括弧:})の位置には 注意して下さい. 次の二つの例によって,\parコマンドの位置と 行間隔の関係を確認して下さい.


\begin{example}
{\Large Don't read this! It is not
true. You can believe me!\par }
\end{example}


\begin{example}
{\Large This is not true either.
But remember I am a liar.}\par\end{example}

文章中で一つ以上の段落全部のフォントサイズを 変更したいときには,フォント変更のコマンドを 環境として使用するとよいでしょう.


\begin{example}
\begin{Large}
This is not true.
But then again, what is these
days \ldots
\end{Large}\end{example}

このように環境として使用すると, ブレース(中括弧)の数を数えて対応関係に 注意を払う必要がなくなります.

7.2.2 フォントに対する注意の喚起

この章の最初でも述べましたが, 以上のように直接フォントの種類とサイズを変更するような コマンドを文書中でむやみに使用することは危険です. これは,文書の論理的構造と視覚的構造とを分離するという LATEXの基本的な考え方に反します. つまり,特別な情報を読者に伝えるためにいくつかの場所で 同じフォント変更コマンドを使う場合には, フォント変更コマンドを直接使用する代りに, \newcommandを使って``論理的に扱えるコマンド''を 定義するべきなのです.


\begin{example}%
\providecommand{\oops}[1]{\textbf{ ...

この手法には,注意を引くために\textbf以外の 別の視覚的表示を使うかどうかを,文書作成中にその場その場で 指定したり,\textbfを使用しているすべての場所を 探したりする必要がなく,さらには危険を知らせたり 別の理由のためにどんな表示をすればよいかをその段階で 理解していなくても,少し後の段階で決定できるという 利点があります.

7.2.3 フォントに関する助言

フォント種類とフォントサイズに関する記述をまとめるために, ここでちょっとした助言をしておきましょう.

Remember! The MO RE fonts you use in a document, the more READABLE and beautiful it becomes.


next up previous
: 7.3 スペース : 7. LATEXのカスタマイズ : 7.1 新しいコマンド,環境,パッケージ
Hiroyuki Ohsaki (oosaki@ics.es.osaka-u.ac.jp)