標準のLATEXやLATEXの拡張パッケージには, 実際に図,画像を 文書中に取り込む方法がいくつかあります. しかし,ほとんどの人にとってはそんな方法を理解するのは 非常に面倒です. そこでこの冊子では,詳しくは説明しません. 詳細は,The LATEX コンパニオン [3]またはLATEX マニュアル [1]を参照して下さい.
図を文書中に取り込む簡単な方法としては, 特別なソフトウェアを使用して図を作成し6.1,それを文書に貼り込む方法があります. もう一度言っておくと,LATEXには図を文書中に 取り込むための方法が多くのパッケージで用意されています. ここでは,扱いが簡単で広く使用されているという理由から Encapsulated PostScript(EPS)による図の取り扱い方に ついてのみ説明を行います. EPS形式の図を扱うには, 出力のためのPostScriptプリンタ6.2が必要になります.
図を文書中に取り込むための一連のコマンドは, D. P, Carlisleが作成したgraphicxパッケージを 読み込むことで使用可能になります. このパッケージは,``graphics''と呼ばれるパッケージ群の 一部です6.3.
PostScriptプリンタが使用できる環境にあり,使用している コンピュータシステムにgraphicxパッケージが インストールされていれば,次に示す順番に従って 文書中に図を取り込むことができます.
ここでオプションdriverは,``dviファイルから postscriptファイルに変換する''ために使用する アプリケーション名です. 広く使われているものに,dvipsがあります. TEXでは,文章に図を取り込むための標準方法が 決められていないので,使用するドライバ6.5の名前を文書の執筆者がオプションで 指定する必要があるのです. driverの名前をLATEXが知っていれば, graphicxパッケージは図に関する情報を .dviファイルに取り込むための正しい方法を 選びます. そして,プリンタはその情報を解釈し, .epsファイルを正しく文書中に取り込むことが できるようになるのです.
オプション引数には,変数keysと その値valuesをカンマで区切って 複数与えることができます. keyは,挿入する図の幅,高さ,回転角度を 指定するために使用します. 表6.1に主な変数を示しておきます.
次の例を見れば,引数の指定方法がわかるでしょう.
\begin{figure} \begin{center} \includegraphics[angle=90, width=0.5\textwidth]{test} \end{center} \end{figure}
これは,test.epsファイルに描かれている図を 文書中に取り込む例ですが,まず最初に図を 右回りに90度回転させ,次に版面幅の半分になるように 図の幅を変更します. この際,高さに関するパラメータは指定されていないので, 縦横比は元の図のまま保たれます. 幅と高さは,長さの単位を用いて指定することもできます. 長さの単位に関しては,ページの 表7.5を参照して下さい. 参考文献[8]や[11]を読めば, 図の取り込みに関してもっと詳しく知ることができます.