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: 6.2 参考文献 : 6. 特記事項 : 6. 特記事項

6.1 EPSファイルの挿入

LATEXは,画像や図といった浮動体を扱う基本的機能として, figure環境やtable環境を利用します.

標準のLATEXやLATEXの拡張パッケージには, 実際に図,画像を 文書中に取り込む方法がいくつかあります. しかし,ほとんどの人にとってはそんな方法を理解するのは 非常に面倒です. そこでこの冊子では,詳しくは説明しません. 詳細は,The LATEX コンパニオン [3]またはLATEX マニュアル [1]を参照して下さい.

図を文書中に取り込む簡単な方法としては, 特別なソフトウェアを使用して図を作成し6.1,それを文書に貼り込む方法があります. もう一度言っておくと,LATEXには図を文書中に 取り込むための方法が多くのパッケージで用意されています. ここでは,扱いが簡単で広く使用されているという理由から Encapsulated PostScript(EPS)による図の取り扱い方に ついてのみ説明を行います. EPS形式の図を扱うには, 出力のためのPostScriptプリンタ6.2が必要になります.

図を文書中に取り込むための一連のコマンドは, D. P, Carlisleが作成したgraphicxパッケージを 読み込むことで使用可能になります. このパッケージは,``graphics''と呼ばれるパッケージ群の 一部です6.3

PostScriptプリンタが使用できる環境にあり,使用している コンピュータシステムにgraphicxパッケージが インストールされていれば,次に示す順番に従って 文書中に図を取り込むことができます.

  1. まず,作成した図をEPS形式でファイルに保存します6.4

  2. 次に図を取り込もうとしている文書のプリアンブルに, 次のコマンドを書いてgraphicxパッケージを 読み込みます.


    \begin{command}
\verb*\vert\usepackage[\vert\emph{driver}\verb*\vert]{graphicx}\vert
\end{command}

    ここでオプションdriverは,``dviファイルから postscriptファイルに変換する''ために使用する アプリケーション名です. 広く使われているものに,dvipsがあります. TEXでは,文章に図を取り込むための標準方法が 決められていないので,使用するドライバ6.5の名前を文書の執筆者がオプションで 指定する必要があるのです. driverの名前をLATEXが知っていれば, graphicxパッケージは図に関する情報を .dviファイルに取り込むための正しい方法を 選びます. そして,プリンタはその情報を解釈し, .epsファイルを正しく文書中に取り込むことが できるようになるのです.

  3. 図のファイルを文書中に挿入するために, 次のコマンドを使用します.


    \begin{command}
\texttt{\symbol{'134}includegraphics}\verb*\vert[\vert\emph{key}=\emph{value}, \ldots\verb*\vert]{\vert\emph{file}\verb*\vert}\vert
\end{command}

    オプション引数には,変数keysと その値valuesをカンマで区切って 複数与えることができます. keyは,挿入する図の幅,高さ,回転角度を 指定するために使用します. 表6.1に主な変数を示しておきます.


表 6.1: graphicxパッケージで使用できる主な変数名

\begin{lined}{9cm}
\begin{tabular}{@{}ll}
\texttt{width} & 文書中に出力する際ぎ..
...tt{scale} & 図の拡大・縮小率を指定する\\
\end{tabular}\par\bigskip \end{lined}


次の例を見れば,引数の指定方法がわかるでしょう.

 \begin{figure}
  \begin{center}
   \includegraphics[angle=90, width=0.5\textwidth]{test}
  \end{center}
 \end{figure}

これは,test.epsファイルに描かれている図を 文書中に取り込む例ですが,まず最初に図を 右回りに90度回転させ,次に版面幅の半分になるように 図の幅を変更します. この際,高さに関するパラメータは指定されていないので, 縦横比は元の図のまま保たれます. 幅と高さは,長さの単位を用いて指定することもできます. 長さの単位に関しては,[*]ページの 表7.5を参照して下さい. 参考文献[8]や[11]を読めば, 図の取り込みに関してもっと詳しく知ることができます.


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: 6.2 参考文献 : 6. 特記事項 : 6. 特記事項
Hiroyuki Ohsaki (oosaki@ics.es.osaka-u.ac.jp)